考える葦

日々の記録。

あいちトリエンナーレ2016 振り返り

何日かに分けて観たので、記憶も途切れ途切れだけど各会場の気になった作家や作品をまとめておく。(実際に観た順に羅列)

 

@名古屋市美術館

 賴 志盛(ライ・ヅーシャン)《台湾》

「Border_ Lyon」

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ゴミ、散乱、置かれただけ。

ザ現代美術な作品と対峙した時、美術に慣れていない人の多くは「これがアート?」と感じるはず。作品の中を歩くと、自分もその空間の一部となり、見るから見られるへと変わる。 普通に観て楽しむも良し、作品について考えるも良し。現代美術初心者にオススメしたい!

 

ジョヴァンニ・アンセルモ《イタリア》

「星々が1スパン近づくところ」

鉄と金属の彫刻作品。なんかいいな。タイトルもいい。私は作品を観る時によくわからないけどなんかいいな、っていう感覚を観る時にとても大事にしていて。そのよくわからないけどいいと思ったのはなんだろうと後になって作家のことを調べたりすると、ますます興味が深くなる。

ジョバンニ・アンセルモは1960年代後期のアルテ・ポーヴェラ(貧しい芸術)を代表する作家として活躍。私が好きな美術の時代のひとつに戦後美術の1960〜70年代がある。まさにその時代の先端をいっていた人だということに感動を覚えた。もちろん情報を知ってより深く感動するパターンもあるけど、情報を知らずして観てなんかいいなという感覚があったからこそ得られた感動だということは忘れてはならない。

 

@愛知県美術館

映像みて、彫刻みて、インスタレーションみて、ほんと忙しい会場だった。美術作品を観るのは楽しいんだけど、観終わった後どっと疲れが。

 

そんな中でも印象深いの

マーク・マンダース《オランダ》

「サイレント・スタジオ」

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 養生された空間に人や動物の塑像が 転々とする。未完成?かと見紛う。そもそも未完成か未完成じゃないか、は作った本人にしかわからないことだけど、その未完成さに妙に惹かれる。まさに未完の美。

この犬を見てガブリエル・オロスコの横たわる犬に見えてならないのは私だけか。

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 大巻伸嗣《岐阜県

「Echoes-Infinity」

圧倒的な作品としての完成度の高さ、綺麗さ、独創性、時間を経て変化する(花の周りが歩けるようになる)仕掛け、などなど文句なしに良い作品。愛知県美術館の他に長者町豊橋にも作品を出品されていたり、今回のトリエンナーレのメインビジュアルのようなイメージ。

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田附勝《富山県

 「KURAGARI」

野生の鹿を暗がりの中で映した作品の展示方法が面白かった。真っ暗な部屋の中、写真だけに照明が当たっていて暗闇の中でキラリと光る鹿の目と自分の目が合う。実際に映した作家の臨場感や、野生動物の怖さを感じた。奈良の人間慣れした鹿とは比べものにならない。

 

 @栄会場(旧明治屋ビル)

レトロ建築な旧明治屋は今回初の会場だけど当たり会場ではなかったかと。

ソン・サンヒ《韓国》

「ビョンガンソェの歌-2016人間性とは何か」

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韓国人作家となるとどうも贔屓目で見てしまうことお許しあれ。韓国人作家の作品を日本で観る機会が少ない(私調べ)韓国人作家の大きな個展だと2012年の森美術館のイ・ブル、2014年の水戸現代美術のチョ・ヨンドゥくらい?

もっともっと韓国人作家の作品を日本で観たい!

ソン・サンヒは 歴史や社会的なテーマを扱う作家で、興味深いのが彼女は中流階級の何不自由ない家庭で育ったこと。なぜそんな彼女がわざわざこうしたテーマを作品として発表し続けるのか。それはまさに韓国社会が作り出した独特の習慣によるものだとこの作品を観て感じた。

今回は韓国伝統芸能のパンソリに演劇的要素を取り入れた映像作品。次から次へと変わる映像と音、照明が印象的。モニター画面の配置や全体の構造までよく考えられてるなあと。映像の中身もとても興味深く韓国の現代社会の不条理さをアートというユーモアで対抗する。国から何を言われても負けないでほしい。

 

@長者町会場(八木兵錦6号館)

今村文《愛知県》

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愛知の作家なので何度か作品は拝見していたけど、植物モチーフが毎回素晴らしい。この円形のとかすごくいい。古代エジプトのミイラの棺の装飾に使われていた蜜蝋画という技法を使用。ワークショップとかあったら楽しそう。油絵にはない幻想的な雰囲気が魅力的。喫茶クラウンの作品も見たかったけど定休日だった。残念。

長者町は来るたびに知らないお店が増えてる。ガラガラだった駅地下の通りも飲食店が入ったり、街中もギャラリーや洒落たカフェができたりどんどん進化してきていて驚く。トリエンナーレの作品の規模は縮小したけど、それで街が発展したのは素晴らしいことだと思う。初回から使われている会場だし、私にとっても思い出深い場所なのでずっと使われてほしい。

 

豊橋〜岡崎へと向かうので時間管理が肝心だとはりきったくせに時間配分をミスして、岡崎会場は泣く泣く断念した会場あり。消化不良感が半端ない。

まずは豊橋から。

路面電車が普通に道路を走っていてビビる。

 豊橋名物?ヤマサのちくわの入ったおでん定食でお昼。おでん大好き。

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@豊橋会場(開発ビル)

久門剛史《京都府

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日産アートアワード2015受賞者。

日常に潜むささやかな事柄に着目し、誰もがどこかで体験したことのある追体験を光や音などを用いてインスタレーションで再現。

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風が吹いてカーテンが揺れ夕日が映る

 この空間もどこか懐かしいどこかで見た風景。日常って毎日の繰り返しだけどそうした日常から何かを発見したり気づきを得ること、その視点の先を見たようで作品を観た後しばらく鳥肌が立って感動した。今後注目の作家なのは間違いない。

 

 @岡崎会場(名鉄東岡崎ビル)

二藤建人《埼玉県》

 会場のボランティアスタッフの方の説明が丁寧。おそらく引き継ぎがしっかりなされているのだと思うけど、この作品は説明してもらえるとより説得力が増すというか、体験型というか、というか言いすぎというか。アトラクション感覚で自分の身体を使って体験し、作品を感じることができるの新しい。新しくて面白い。

  

 ウダム・チャン・グエン《ベトナム

「機械騎兵隊のワルツ」

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今回のトリエンナーレのハイライト。

個人的にエンディングテーマでもよいかと。

カラフルなビニール、一糸乱れないオートバイに乗った集団、一度観たら忘れられないくらいインパクトが強い。流れていたワルツのテーマ曲もループする。シュールさに潜む闇を見た。